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デジタルマーケティングの提案を依頼する際に必要なRFPの書き方

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デジタルマーケティングのプロジェクトを外部の企業に依頼する際に必要となる書類がRFP(提案依頼書)です。ブリーフィングシートやオリエンテーションシートと呼ばれることもあるRFPは提案の質を左右する重要な資料となりますが、どのような情報を伝えればよいのかわからず、資料を作らずに依頼してしまうことも多いのではないでしょうか。今回はRFPを作成するときに最低限入れておきたい情報、書き方を紹介します。


RFPを提出する企業によって気を付けたい情報の粒度

基本的には新規のプロジェクトを依頼する際に作るRFPですが、どんな企業に提出するのかによって必要な情報は大きく変わってきます。

すでにデジタルマーケティングのプロジェクトを一緒に取り組んでいる、取引実績のある企業に依頼する場合は、ある程度情報が省略されていても理解してもらえることが多いです。例えば自社のビジネスモデルなど、基本的な情報は既に知っているはずですし、毎回伝える必要はありません。

一方で新規取引先となる企業にプロジェクトを依頼する際は自社の基本的な情報はもちろん、売上データや競合としている企業、その理由など、できるだけ多くの情報を伝えることが重要になります。尚、詳細なデータを伝える際には予め秘密保持契約を締結するなどの対応をおすすめします。

RFPに最低限必要な情報

今回は新規の取引先、既存の取引先企業に関わらず、デジタルマーケティングのプロジェクトで提案を依頼する際に最低限必要な情報をまとめました。

1. プロジェクト依頼の背景と課題

まず伝えたい情報は今回のプロジェクトを依頼した背景です。何かしらの課題を解決するために新規プロジェクトを立ち上げるはずなので、そこに至った背景を伝える必要があります。

例えば「競合他社と比較してデジタルマーケティングへの投資が遅れており、社内にデジタルマーケティングを理解した社員もいないため、どのように進めていけばよいかわからない」や「若年層向けの新製品を発売するため、デジタルメディアで認知を獲得したいが、若年層向けデジタルプロモーションの経験がない」「コーポレートサイトを持っているが、情報の更新が数年前で止まってしまっており、スマートフォン対応もできていない」など、細かく具体的に伝えます。

2. プロジェクト目的と依頼内容

背景と課題から今回のプロジェクトの目的と依頼内容を明確にしていきましょう。目的もできる限り具体的にして、どんな目的で何をしてもらいたいのかを伝えます。

例えば「急激に増加したデジタルマーケティング予算の有効的な活用方法と社内体制の構築を目的としたデジタルマーケティング戦略の立案」や「既存ブランドの顧客層拡大に繋がる若年層の認知獲得を目的としたデジタルプロモーションの実施」「ステークホルダー(利害関係者)に正しく企業情報を理解してもらうことを目的としたコーポレートサイトのリニューアル」などです。

3. プロジェクト目標

続いてプロジェクト目標を明確にしていきます。目標は数値で設定することが好ましいです。例えば「新ブランド公開3ヶ月以内に若年層(10代〜20代)の認知度30%を獲得する」や「ECサイトでの売上を半年以内に月500万円増加させる」「コーポレートサイトを閲覧したユーザーの好意度を25%増加させる」などです。

これらの数値目標は予算との関連性が高く、設定することが難しい項目でもあります。数値目標と予算が現実的ではない場合は、提案する企業が目標に合わせて予算を算出したり、予算に合わせて目標を算出するので、どちらかが明確になっていれば問題ありませんが、自社が想定している目標を伝えるためにも提案前に数値で伝えることが大切です。

4. ターゲット

ここまでの情報でプロジェクトの概要は明確になりましたが、提案するための情報としては物足りない状態です。よりプロジェクトを具体的にするためにターゲットを記載します。

ターゲットを伝える方法は様々ですが、年齢や性別、居住地、職業といった人口統計学的データであるデモグラフィック情報を利用することが多く見受けられます。例えば「関東地方に在住している21歳〜39歳の男性」や「人口100万人以上の都市の病院に勤務している医療関係者」「大阪府で一人暮らしをしている男子大学生」などです。

これらの情報には「アンケート調査で購入意向度が最も高かった」など根拠となる情報があることが好ましいですが、難しい場合は担当者の主観でも貴重な情報となるため記載することをおすすめします。質の高い提案を行う企業の場合は目的や目標等の情報を元に改めてターゲットを分析する場合も多いです。

5. 現在持っている資源

今回のプロジェクトを実施するにあたり、可能な限り利用できる資源の情報も共有していきましょう。プロジェクトに関わることができる社内の体制、運営しているWebサイトやソーシャルメディアアカウントなど、デジタルマーケティングに関連する自社の資産、過去に行ったデジタルマーケティング施策の結果、継続して取引をしている外部企業などは全て資源になります。

6. 予算と納期

予算と納期も資源といえますが、特に提案を依頼された企業側が提案を行うか判断する重要な情報となるため、ここでは分けて紹介しています。

デジタルマーケティングの多くのプロジェクトは経験が豊富にない限り的確な予算と納期を算出することが難しいですが、提案する企業との認識のずれを少なくするためにも記載することをおすすめします。

提案に多様性を持たせる方法としては、予算に上限を設定し、松竹梅のプランを依頼することや、理想の納期を設定し、納期までに納品可能な納品物を提示してもらうことなどが考えられます。

7. プロジェクトの進行方法とスケジュール

最後は今回のプロジェクトの進行方法とスケジュールです。複数企業に提案を依頼してコンペを行う場合は提案時に必要な提出物(提案書・デザイン案など)や決済者、コンペ参加費の有無などを明確にします。また、打ち合わせ実施期間、参加可否の判断期限、提案提出期限、企業決定期間などのスケジュールも明確にしましょう。

RFPを提出するメリット

RFPを提出するメリットは多数ありますが、大きなメリットは「自社を信頼してもらえること」と「認識のずれが少なくなりコミュニケーションが円滑になること」です。必要な情報がまとまったRFPがあることは、今後取引を行っていく企業側としても安心感があり、信頼に繋がります。また、プロジェクト内容を理解しやすく、提案時に想定していた内容と大きくずれた提案を受ける確立も下がります。

RFPをまとめる作業は時間がかかる場合もありますが、作業時間以上のメリットがあると思いますので、デジタルマーケティングのプロジェクトを依頼する場合はぜひ作成してみてください。


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